トピックス−活動報告
【11.08.02】中電「シンポのやらせ動員」申し入れ
浜岡原発4号機のプルサーマル計画は断念を
静岡県評も結集する原発問題住民運動静岡県連絡センター(原発センター)は、8月2日(火)、中部電力静岡支店と静岡県に対して申し入れを行ないました。
これは九州電力の「やらせメール」が問題となっているなか、中部電力が2007年8月に御前崎市で行なわれた国主催のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院の要請により、自社の社員や関連企業等に対して、シンポジウムへの参加を呼びかけていた事実が発表されたことを受け、急きょ実施したものです。原発センターの参加者は総勢7人、うち静岡県評から2人が参加しました。
県の意思決定に影響ならば徹底して調査すべき
中電では平尾正典広報グループ課長ほか2人が対応しました。静岡県評の林克議長は、今回の「やらせ問題」について、中電は法令順守の観点から問題があったと言っているが、問題を認識していたならばなぜ当時発表しなかったのか説明を求めるとともに、関係資料等の公表、また2005年以前についても「やらせ問題」がなかったか、調査と結果の公表を申し入れました。加えて、こうした問題が発覚した以上、浜岡原発4号機のプルサーマル計画は断念すべきだと迫りました。
原発センターは今回の「やらせ問題」の経緯と、調査結果について詳しい説明を求めるとともに、シンポジウム内で行なわれたアンケート結果についても追求しました。
公開された結果では、プルサーマルの必要性について「理解できた」「だいたい理解できた」が59.4%。安全性についても「理解できた」「だいたい理解できた」が59.4%となっており、6割近い人間の理解が得られたかのように見えます。しかし、回答数357のうち、実際には、報道されている中電社員150人ほか原発関係者の回答が相当数入っていたと考えられ、これは意図的なアンケート結果の操作にほかならないと指摘しましたが、平尾課長は「(シンポジウムに参加し、特定の意見を表明するよう)具体的な要請はなかった」「(参加した社員は)自分の判断で参加している」と回答しました。しかし読売新聞(8月4日付)で報道されているとおり、九電では社員に説明番組への賛成意見の投稿を業務命令として徹底させるため、要請メールに知事の発言を掲げ投稿要請の根拠にした例もあり、徹底した調査が必要です。
このアンケート結果に関し、林議長は「法務部長が法令順守に基づいて(「やらせ」の質問は行なわなかった)と言っているが、このアンケート結果が(プルサーマル計画について)議会や県知事の意思決定に影響を及ぼしたとするならば、重大な問題だ。県民にとっては、このような形で決められてしまうのは到底納得できないこと。きちんと調査した上で、県民が分かるように説明していただきたい」と要望しました。
また、事実調査についても、原発センターは九州電力のように第三者機関を設置するよう強く求めましたが、中電は自社で調査を行なうとして、第三者機関の設置を否定しました。これに対し林議長は、「第三者機関をつくることが県民に対して理解を得る道だ」と、第三者機関の必要性を訴えました。
さらに中電がWebサイト上で公開している「電気よほう」についても追求しました。東京電力の「でんき予報」ではピーク時供給力がほぼ一定に保たれ、それと一日の電力消費量を比較しているのに対し、中電は分母の値を日々調整し変動させているため、電力消費が多い日でも少ない日でも常に約9割となり、中電の電気が逼迫(ひっぱく)しているかのように見えてしまうからです。林議長は「これは県民の不安を煽り、世論を誘導する行為だ。公共に流す情報として、県民に誤解を与えない、分かりやすい形に統一してほしい」と改善を求めました。
県「運転再開『一切できる状況にない』」
続いて訪問した静岡県危機管理部では、藤原和夫原子力安全課長ほか1人が対応しました。林議長は中電との懇談内容を交えながら、シンポジウム開催当時、この「やらせ問題」を県が承知していたかどうか尋ね、今回の問題に関して中電に抗議と、資料の提出を求めるよう申し入れました。また、浜岡原発4号機のプルサーマル計画の同意を撤回するとともに、県に原子力基本法の「民主・自主・公開」を原則とした第三者機関の設置を要望しました。
藤原課長は「アンケートの結果が、当時の知事の心証にどれほど影響を与えたか分からないが、中電は誤解を招くようなことをするべきではなかった」と述べました。また、プルサーマル計画再開に関しては、「3月11日以降、情勢は大きく変わってきている。今は浜岡原発それ自体が問題であり、プルサーマル以前の問題に直面している」「運転再開に関しても知事は『一切できる状況にない』と言っている」と明言し、わたしたちの運動の成果が、この情勢をつくりだしていることが実感されるものでした。
原発センターは今回の申し入れに対し、中電・静岡県ともに、8月10日までに文書による回答を求めています。