1.一方的な不利益変更はできません。
労働条件を切り下げるためには三つの方法があります。一つは、就業規則を改定する方法、二つには労働協約を変更する方法、三つ目にはそのどちらでもない方法があります。就業規則は常時10人以上労働者を使用している使用者は、労働基準監督署に届出が義務付けられています〔労働基準法第89条〕。その就業規則は法令や労働協約に反してはなりません〔労働基準法第92条〕。
2.合理的、客観的根拠が必要です。
労働条件の不利益変更が行われれば、労働者はその就業規則〔不利益部分〕に拘束されないと考えられています。裁判の判例では(1)変更に合理性がある場合だけ拘束力をもつ(2)賃金・退職金など重要な労働条件に関する不利益変更は、高度の必要性に基づいた合理性がある場合に限り、労働者に対する拘束力をもつということです。
3.不利益変更への対応のポイントは次のとおりです。
- 労働者の個別的な同意のない使用者からの一方的な切り下げには拘束力がない。
- 同意を迫られても合意する義務はありません。
- 同意の意思表示に問題があれば無効や取り消しを主張できます。