トピックス−活動報告

【11.06.12】浜岡原発学習会「The(ザ)検証」に、会場いっぱいの参加者

静岡県評も集結する原発問題住民運動静岡県連絡センター(原発センター)と静岡県革新懇では、6月12日(日)、静岡県産業経済会館において浜岡原発学習会「The検証・福島原発事故から浜岡原発の危険性を問う」を開催しました。市民の関心は非常に高く、会場は270名の参加者であふれかえりました。また、静岡県評からも多くの参加がありました。  

「マグニチュード9級の大地震の発生を予想してしかるべき」

  冒頭、静岡県評の林克議長は「今日(こんにち)の情勢は、浜岡原発の即時停止をうったえつづけてきた我々の運動の成果であり、大いに歓迎すべきことだ。しかし、中部電力は『停止は一時的なものであり、津波対策を行った後に運転を再開させる』と言っている。永久停止・廃炉に向け、これからの運動が重要だ」とあいさつしました。
続いて、新潟大学名誉教授(地質学)の立石雅昭氏の「東北地方太平洋沖地震はどのような地震であったのか ―東海地震による浜岡原発の危険性を考える」講演が行われました。立石教授は、東京電力や安全保安院の地震対策のずさんさについて「世界の震源分布をみればマグニチュード9級の大地震の発生を予想してしかるべき。だが東電や安全保安院は『あり得ない』と繰り返してきた。浜岡においてもその立地の危険性について指摘する在野の学者は多くいたが、中電はいっさい耳を傾けなかった」と批判しました。
また、浜岡原発の耐震・対津波安全性に対する問題点のひとつとして、原発敷地内を走るH系断層の活動可能性を挙げました。中電は、H系断層は第四紀後期以降(少なくとも約8万年前以降)活動がなく、地震の原因となったり、地震発生に伴って激しく動いたりするものではないと判断し、また東北地方太平洋沖地震でも13万年前から活動がなく地震を起こさないとされてきた断層が11kmあまりにわたってずれた例もあると説明し、「浜岡においてもH系断層が活断層に変わる可能性がある。そうなった場合起こる被害ははかり知れない。原発は廃炉にし、自然エネルギーに転換すべきだ」と強調しました。

事故の現実を知り、そこから謙虚に学ぼう

  次に、日本大学専任講師(環境放射線学・放射線防護学専門)の野口邦和氏の「福島原発で何が起こり、現状、終息への道は?」の講演が行われました。最初に原子力発電のしくみとその問題点について触れ、特に軽水炉型原子炉(BWR)には、電力会社が安全を説明する際に強調されてきた「放射性物質を閉じ込めるための五重の壁」の構造上の欠陥について説明しました。また、原子力発電の安全性の基本となる「止める、冷やす、閉じ込める」の三点を挙げたうえで、「福島第一原発の場合、地震により外部電源が喪失し、非常用のディーゼル発電機も津波によって停止したため、原子炉の冷却機能が失われた。炉内の圧力を下げるため、放射性物質を外部に放出してでもベント(弁の開放)せざるを得なかった。東電は外部電源の喪失までは想定していたが、ディーゼル発電機の停止までは想定していなかった」と、事故が起こった経緯と、大気・海中に放出された放射性物質の量などについてわかりやすく説明しました。野口氏は、福島の原発事故で国の原子力防災対策が崩壊したことについて、「原発事故は常に想定外の原因から発生し、想定外の経緯をたどって、想定外の大規模な放射能漏洩をもたらす」と述べ、「東電や政府の隠蔽体質にも問題がある。私たちは事故の現実を知り、そこから謙虚に学ばなければならない」とうったえました。
また、浜岡原発の建つ地域からの報告として、御前崎市議会議員の清水澄夫氏より、これまでの浜岡原発に対する住民運動と、福島の事故以来の「脱原発」運動の盛り上がりについて話がありました。清水議員は「福島の事故を受け、浜岡原発に関する問い合わせや、即時停止を求める声が数え切れないほど届いた。2009年8月の駿河湾沖地震で浜岡原発が緊急停止したときとは比べ物にならないほど「原発ゼロ」へ向けた世論が急速に高まっている」と語りました。そして「原発は絶対安全だと説明されてきたが、中電に裏切られた」と嘆く地元住民や、若者の間でも原発について勉強したいという声が寄せられていること、浜岡原発即時停止署名活動に奮闘した女性の事例などを紹介しました。また、今後の運動について「これまでの署名・街頭宣伝のほか、これからは裁判闘争もすすめていきたい。永久停止・廃炉に向け全国各地に活動を広げていく」と力強く語りました。
この後に行われた質疑応答では、講演に対する質問や、原発に対する参加者からの意見が後を絶ちませんでした。

7・23大集会参加も呼びかけ

  最後に林議長が「これからの運動は若者がキーワードになる」と述べ、浜岡原発の永久停止・廃炉を求める新しい署名行動へのとりくみと、7月23日(土)静岡市駿府公園で開催する「浜岡原発の永久停止・廃炉を求める静岡県大集会(7・23ひまわり集会)」への参加を呼びかけて、閉会のあいさつを行いました。
集会に参加した男性は「今まで原発に対する漠然とした不安はあったが、福島の事故を経験して、やっぱり原発に頼っていてはいけないと思い、勉強しにきた」と述べ、浜岡原発の廃炉とエネルギー政策転換を求めたいと話しました。

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