トピックス−活動報告

【12.10.30】原発防災など、対県交渉で県当局に質す

「拡散シミュレーションにとらわれず線引き」

10月30日、国民大運動静岡県実行委員会の対県交渉において、浜岡原発をめぐる問題を県当局に対して質しました。現在、問題となっている新しい防災指針にもとづく地域防災計画の策定など、論点は多岐に及びましたが、現在でも浜岡原発は運転の是非を判断できる状況にないことを改めて確認する交渉となりました。

「安全確認できず、運転の是非は判断できない状況」

まず浜岡原発の永久停止・廃炉の要求について、県は、「再稼働について国の要請により停止しているので、安全を確認できない限り、再稼働など判断できる状況にはない」と明言しました。住民投票否決後も、依然として県の姿勢が変わっていないことが確認されました。  

学術会議、福島に無反省な原子力村の委員はやめて

静岡県防災・原子力学術会議のメンバーについて、「原子力村の人たちは認められない。住民団体の推薦による有識者を加えてほしい」との要求について、原子力防災課は「原子力村の定義が確立されておらず、現在のメンバーはそれぞれのトップクラスの人。住民団体の代表を検討しなければならないが団体は様々で誰を入れるかが難しい」と述べました。
私たちは、「小佐古(こさこ)委員は、チェルノブイリ事故のような過酷事故は日本では絶対に怒らないと言い切った人物、興委員にしても浜岡5号機設置の時に科学技術庁で責任者をしていた人。福島の反省なしに委員をするのはおかしいのではないか」と質したのに対し、県は「第一線の知識を持った人たち」と平行線でした。
浜岡周辺のモニタリングステーションは、県内全域へ増設することで関係市町と相談している。スピーディーは防災基本計画に盛り込まれており、国が計算して災害時には迅速にまわす。県としては季節ごとの拡散の傾向を知るために、毎月の1日の風の方向を観測していると回答しました。

「拡散シミュレーションは役に立つのか?」

原発災害含む地域防災計画の改定については、「国は年末までに防災指針の改定をしようとしている。原子力防災の基本になるのは防災区域の線引きによる。現在EPZ(8~10gkm)を、PPA、UPZ、PAZそれぞれに広げるものだ。特にUPZ(原発防災の重点区域)の線引きには先日発表された拡散シミュレーションが使われることになる。これで前に進める。30km圏という距離と同時に、7日で100ミリシーベルトという値が提示され、浜岡の場合は30キロ外には30.9km地点、海上だった。30ミリシーベルトは、IAEAのすぐに避難しなければならない基準だが、具体的な線引きは同心円で実施したい」と述べました。
なくす会では「国のシミュレーションは本当に使えるのか、地形を無視して使えるのか、また7日で100ミリシーベルトの線についても高すぎないか。またその線引きの具体的な手続きは」と問いました。また100ミリシーベルトの値についてはIAEAの避難基準(屋内退避:sheltering、または退避evacuation)に準拠したものと認識するが、これは高すぎる。チェルノブイリの経験や福島での現在進行形の被爆の実相を踏まえる必要があるため、学術委員会、防災計画を決める会議の両方に、被ばく問題を専門に考えられる医療関係者を入れてほしいと強く要望しました。
県は「今年度中に地域防災計画は改定していく。基本的には同心円で考えたい。UPZを円で描くか、市町単位とするか、もっと細かく自治会単位とするかの線引きは、市町原子力防災対策研究会で議論していく。6月の防災会議で確定させたい」との回答については「御用期間と認識している放影研の鷹の知見だけでは不十分だ」と注文を付けました。
 

ヨウ素剤配布区域、50キロ外される

ヨウ素剤を配布するPPAについての質疑に移り50キロにとらわれず希望する市町は配布できるようにしてほしいとの要望で、県は「国の指針の素案では、50キロという枠が外れた」と答えました。「PPAという考え方がなくなったのか」との問いに、「それは50キロという距離がなくなったので、今後国がどうするのかを注視したい」と述べました。

「一人でも多く救える避難計画を作ってほしい」

なくす会では「福井では防災計画がいい加減なのに、県知事は再稼働同意した。静岡ではそのようなことがないようにしてほしい。私たちは浜岡廃炉だけを声高に言うつものはなく、一人でも救える避難計画をつくることが重要だと考えている。ただ避難計画をつくるのには大変な困難がある。30キロに74万人とすると、2万台近いバスが必要だ。県内に登録されているバスは、6500台にしか過ぎない。もし同時に避難しようとすれば不可能だ」と指摘すると県担当者は、「そうですね」と声を詰まらせました。
県は、アメリカで原発を許可するときに用いる手法である避難シミュレーションをつくるため予算を取っている。実効性のある計画をつくっていきたい。県外への避難については対策協議会で取り上げ、隣接県の協議していきたいと答弁しました。また2月には、中間の段階として県が音頭をとって避難訓練を実施すると述べました。
 

改めて浜岡原発廃炉の運動が必要

今の時点では、もし過酷事故が起きた場合に県民全員が救えるような防災計画をつくることは不可能であり、改めて浜岡原発廃炉の運動が必要であることを実感しました。それと同時に一人でも多くの県民を救う計画をつくることは重要であることはまちがいありません。

廃炉署名、年末までに30万を何としても

中部電力は、12月末で防波壁を完成させて再稼働めざす旨、明言していました。しかし保安院が指示した中長期対策については、来年にずれ込むことを明らかにしました。
しかし今、県民の中に「浜岡原発はいらない」県民世論を盛り上げることが重要です。なんとしても年内30万の署名を集め、永久停止・廃炉の世論を盛りあげて行きましょう。

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